パレスチナ支援ストラップ大好評
2万枚の増刷を決定!
パレスチナ支援ストラップ、好評です。ストラップを届けたみなさんから、激励や共感の声が届いています(別掲)。何かしたいと思っていた人がたくさんいたことを、あらためて感じました。
日本医労連からは、「各県下ろし用に、850枚送ってください」と連絡が来ました。医労連は、日々、いのちと向き合っている職場です。活用してくださること、とてもうれしいです。
ストラップは無料で配布していますが、「いくらでもいいのでカンパお願いします」と率直にお願いしたところ、たくさん寄せていただきました。ありがとうございました。
なお、実費を超えた分は全額をパレスチナへのカンパにあてます。
LUMでは、好評にお応えして2万枚増し刷りします! もっともっと広がることを願っています。ぜひ周りの人に広げてください。
■ストラップに寄せられた声(一部)
・大きさもちょうどいいし、画も素敵で色もいいです。家族や友達にも配りました。(埼玉在住・会員)
・パレスチナのニュースを見る度に何かしたいと思っていました。でも、身体の具合もよくないし、カンパ以外に何が出来るのかわかりませんでしたが、ようやく私にも出来る活動に出会えた気分です。このストラップをつけて、病院通いをします。ありがとうございました。(東京在住・会員)
・すばらしい活動に感謝します。役員会で配付し、何枚送ってもらうか検討しますので、とりあえず50枚送ってください。(東京の労働組合)
・私の周りの人達に配ったらすぐなくなりました。20枚送ってください。(埼玉県在住・会員)
・みなさんの素晴らしい活動のお役に立てて、うれしく思います。(九州在住・会員)
難民シェルターから退去を迫る外務省
担当者が変わると約束は反故に
都内の公園で野宿していたコンゴ難民を、昨年来、LUMが支援してきたことは、すでに詳しくお伝えしてきたところです。この間の外務省との交渉で、RHQ(公益法人アジア福祉教育財団難民事業本部)のシェルター入居が実現するなか、入居期限が最長で6か月だったため、その後の住まいが見つからなければ、強制的にシェルターを追い出さないことを外務省担当者に約束させてきました(『LUM91号』参照)。
ところが、4月の人事異動で外務省の担当者が変わるやいなや、手のひらを返したように、コンゴ難民の追い出しにかかりました。
ことの発端は、新たな転居先としてアパートさがしに奔走していた最中、わざわざシェルターを訪ねてきた外務省の担当者が、5月末までに退去するようにいきなり求めてきたことにあります。当初の約束とは違うことに不安をいだいたコンゴ難民らが、LUMに相談してきたことから、さっそく日本共産党の本村伸子参議院議員の協力もえて、外務省と話し合いを持ちました。その時出てきたのが「6か月以内に必ず退去してもらいます」の言葉でした。
これに対して、「前任者が約束したことを、簡単に反故にするのか」と迫っても、新たに着任した担当者は、「予算の範囲内でやることなので」「予算がありますから」の一点張りで、譲ろうとしませんでした。「予算」をタテにして約束を守らない態度はあまりにも無責任で、人道的にも認められません。
そもそも、日本の難民認定は年間わずか30人程度にとどまっており、それを前提にしてわずかな予算しか確保していないことに問題があります。予算がなくなったから出ていけというのは難民の人権を無視するもので、国際社会の一員としてあまりにも恥ずかしい行為です。
幸いにもコンゴ難民らは、LUMの支援でなんとか新たな入居先に落ち着くことができましたが、今回の外務省の約束破りを教訓に、これからも来日したすべての難民支援のとりくみを継続・強化していきます。
外国人を追い出してどこが「共生社会の実現」か
永住資格の取り消し要件を拡大
第213通常国会で審議されていた「育成就労制度」関連法は、自民党・公明党・日本維新の会・国民民主党などの賛成多数で成立しました。国際社会から「現代の奴隷制度」と批判されてきた技能実習制度は、法律上は「廃止」されたものの、さまざまな人権侵害の解消につながるかどうかは、国会審議を通しても疑問が残りました。何より、衆参あわせて40項目以上もの附帯決議は、法律上の欠陥をあらわにしています。
とりわけ、新たな制度発足に結びつけて、永住許可の取り消し要件を拡大したことには、各方面からの批判の声が高まり、野党の追及が集中しました。長年日本で生活してきた外国人を追い出すような制度改定は、断じて認められません。
日本に住む外国人の4分の1を占める「永住者」
約40種類にのぼる在留資格のうち、「永住者」は約89万人で全体の4分の1以上となり、もっとも多数を占めています(2023年末現在)。「永住者」の資格を得るには、継続して10年以上日本に在留することをはじめ、「素行が善良であること」や、独立して生計を営んでいることなどが条件とされます。
「技術」や「特定技能」などの在留資格は、資格ごとに就労できる職種が厳しく制限されますが、「永住者」の資格を得れば、どんな仕事に就くことも可能となります。
多くの外国人労働者は、日本で働きつづけたいという希望を持っており、「永住者」もこの5年間で約12万人増えています。就労可能な在留資格でこつこつと経験を積み上げ、家族をふくめて日本で生活の基盤を築き、ようやく「永住者」の資格を得た外国人労働者の姿が見えてきます。
在留カード不携帯だけでも取り消し?
いまや90万人に迫る永住外国人は、日本の暮らしと経済を支える一員と言えます。ところが自民党は、育成就労制度ができれば永住につながる就労者が増えるなどとして、新制度に懸念を表明してきました。
技能実習制度にかかわる有識者会議の最終報告が出た直後の昨年12月、自民党は「永住許可の制度の適正化を検討すること」とする意見書を政府に提出しています。これをうけた政府は、永住許可の取り消し要件を厳しくする規定を法案に盛り込みました。
有識者会議では、永住許可の問題などは議論されてこなかったことからも、自民党のゴリ押しで法案化されたことは明らかです。
こうした経過をたどって新たに加わった在留資格の取り消しの要件は、「故意に公租公課(税金や社会保険料など)の支払いをしない」場合のほか、在留カードを携帯しなかっただけでも、「入管難民法違反」として永住許可を取り消す場合があるとしています。
解雇や倒産などで収入の道が途絶え、税金や社会保険料を納められないケースは、日本人でも往々にしてありえます。税金が払えないなら日本から出て行けというのは、外国人への不当な差別にほかなりません。横浜中華街を中心とした華僑らでつくる「横浜華僑総会」は、ただちに「深刻なる差別」とする抗議声明を出しました。
新聞各紙の社説でも、「共生の理念を否定するメッセージすらはらんでいる」(朝日)、「社会の分断を招いてはならない」(日経)、「永住資格を厳格化する規定は削除すべき」(東京)など、厳しい批判の声が集中しました。
当事者の声に耳をふさいだ法律は無効
永住許可の取り消しにかかわっては、過去に第7次出入国管理政策懇談会(2016~20年)で議論された経過があります。懇談会では意見はまとまらず、「外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聴くとともに(中略)丁寧な議論を行っていく必要がある」(最終報告・20年12月)ことが合意されています。
こうした懇談会の合意事項を棚上げにして、「丁寧な議論」どころか当事者からのヒアリングさえなく法案化されたことが、小泉法相の国会答弁で明らかになりました。与野党間の修正協議を経て、「外国人の従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮する」との附則を加えたものの、小手先の修正などで当事者が納得できるわけがありません。
国会審議は一からやり直せ
国会審議で岸田首相は、法案の目的を「外国の人材に選ばれる国にする」とのべ、「共生社会の実現」と繰り返し答弁しました。永住する外国人が増えそうだから、要件を厳しくする―そうした考えは、岸田首相の答弁ともあいいれません。
すべての外国人の人権が守られ、安心して暮らし、働きつづけることのできる社会を、日本人と外国人が力を合わせていかにつくりあげるのか、それは将来にむけて問われる重要な課題です。
こうした議論が、当事者不在のもと十分に尽くされないまま、永住許可取り消し要件の拡大が強行されました。国会審議は、あらためて一からやり直すべきです。
送還は許さない!全員に在留特別許可を認めろ!
24年6月10日から改定入管法施行
昨年の国会で「人権侵害だ」「命の危険のある国に送り返すなど、国際人権上あってはならない」と大きな反対運動が巻き起こった改定入管法、LUMも反対運動を繰り広げましたが残念ながら成立してしまい、24年6月10日から施行されました。
もっとも問題なのは3回以上の難民申請者を迫害の恐れのある国へ送還することができることです。これを止める手段は全員に在留特別許可を出させることしかありません。
国へ帰ったら危ない人たちを追い出すな
3回目以降の申請者に共通しているのは、国に帰れば命さえも危ないということです。日本では難民の権利が厳しく制約され、仕事をすることすら許されません。そんな不自由な国でも住みつづけようとするのは、生まれた国に帰ることができないからにほかなりません。
まずは子どものいる世帯、および、日本人を配偶者に持つ難民には在留特別許可をただちに認めるべきです。さらに、それ以外の申請者に対しても話をよく聞き、置かれている事情を十分に考慮して在留特別許可をひろげていくことが求められます。
改定入管法が施行されるなかにあっても、一人も帰すことなく難民の権利拡充にこれからも運動を強めていきます。
本多書記長の労働相談日記
(その1)インド人男性4名
賃金不払いの検証でLUMが現地調査
埼玉県内のインドレストランで働く4人のインド人コック。不払い賃金の請求でLUMに相談に訪れました。さっそく会社側と連絡を取り合うと、オーナーのR氏は、とんでもないことを主張する人でした。
R氏は10店舗以上のインドレストランを経営しているのですが、どこの店も8時間以内のシフトを組んでいるし、週2回は休みを与えているので、残業はまったく発生していないと言うのです。そのシフト表は現在も変わらないというので、検証するために2回にわたって現地調査を行いました。
結果は予想通り、シフト表はまったくのデタラメでした。シフト表では一番早い人が入店するのは朝8時になっていますが、7時には2人のインド人が店に入り、調理室の電気がつきました。英語で声をかけてみると2人ともコックさんで、いつもこの時間に入店しているとのことでした。その上、シフト表では8時に1人入り、次に入る人は11時だというのです。この店はカレーだけでなく喫茶部門もあり9時からモーニングサービスもやっていますから、11時までコック1人というのは不自然で、考えられません。案の定日本人女性が7時15分と7時50分に入りました。ですから実態はちゃんとお店が回るように出勤しているのです。
ところが、これを示してもR氏は頑として主張を変えようとしませんでした。「そんなことはない。このシフト通りにやっている」と言うばかり。本人達の労働時間は1日12時間、未払い賃金は4人合計で約650万円にもなります。やむなく組合は団体交渉での解決は諦め、労働審判の準備に入りました。
(その2)インド人男性
勤務中の火傷で片足を切断
元コックのインド人Rさんは、日本人女性と結婚して、その後、定住資格を得たことから、製菓会社に勤め始めました。もう15年も前のことです。ところが就職して1週間も経たないうちに足に熱湯を浴びる事故にあい、その後長い休業を余儀なくされました。10回以上手術を受けましたが、完治せずについに左足切断になってしまいました。
10年以上痛みで苦しみ、障害等級3級となりましたが、日本語の不十分な外国人労働者に十分な説明をせずに危ない仕事をさせたのは「安全配慮義務違反」だとして裁判を起こしました。現在東京高裁で闘っています。
【書籍紹介】
「それはわたしが外国人だから?」
―日本の入管で起こっていること
著 安田奈津紀 絵・文 金井真紀
図書出版ヘウレーカ 1800円+税
この本は、安田奈津紀さんの「子ども向けの本を作りたい」との思いから始まりました。ですから文章も絵もやさしくていねいです。しかし内容は「在留資格がない」ということだけで、人間ではないかのように扱われる人達の存在とその思い、そしてその理不尽さを鋭く描き出していて、誰が読んでも日本の外国人政策の問題点がよくわかるものになっています。
さらに、27項目にわたる「もっと知りたいQ&A」は、「他の国でも長い間収容されてしまうの」など、多くの人達が持つ疑問に的確に応えていて必見です。(本多ミヨ子)
編集後記
「誰でも出来る活動を」と考えて始めたパレスチナ支援ストラップ。好評でうれしい限りです。パレスチナでは今この時も何の罪もない人々が亡くなっています。まだまだ広げなければなりません。まずは全労連など労働組合を中心に配付しましたが、今後は民主団体や個人の方にも広く呼びかける予定です。さらなる増し刷りをめざして。