LUM No.91 (24.4.1)

パレスチナに平和を!ジェノサイドNO!

支援ストラップを作成

GAZAストラップ 連日、イスラエル軍のガザ地区への爆撃が続き、住宅や病院で、子どもを含め多数の民間人が犠牲になっています。また「ガザ地区の人口の4分の1の人が餓死の危機」との報道もあり、食料配付等の人道支援を行っている国連パレスチナ難民救済事業機関への爆撃で職員が死亡するなど、毎日の報道は心が凍える思いです。

 1日も早く戦闘を終わらせるために、出来ることは何かと考え、支援ストラップを作成しました。周りの人にできるだけ多く配って、みんなでつけて、平和への思いを発信しましょう。

 ストラップのお問い合わせはLUMまで。


「育成就労制度」関連法案を国会提出
「国際貢献」から「特定技能1号水準の人材を育成」へ

 岸田内閣は3月15日、開会中の通常国会に「育成就労制度」創設にむけた関連法案を提出しました。外国人労働者の就労と家族をふくめた諸権利に関して、重要な制度改変であるにもかかわらず、自民党議員の「裏金問題」に国会が揺れるなか、そのどさくさにまぎれるように提出、6月までの国会会期中に法成立をねらっています。

目的は変わっても制度設計は変わらない

 提出された法案は、技能実習制度を廃止したうえで、それに代わる「育成就労制度」を作ることを主な目的に、入管法改正案および育成就労法案の2本で構成されています。その内容は、『LUM90号』(1月1日付)で報告したように、技能実習制度の見直しを検討してきた有識者会議の最終報告を具体化したものとなっています。

 育成就労制度創設の目的を、外国人労働者の「人材育成及び人材確保」とし、育成就労期間の3年以内に特定技能1号水準の技能を持つ人材を育成するとしています。育成就労制度で就労可能な範囲も、特定技能1号と同様に16分野となります。

 技能実習制度では、本国を出る費用のため多額の借金をかかえた実習生の弱みにつけ込む、悪徳ブローカーの横行が問題となってきました。その改善策として、技能実習制度での管理団体に代わる「管理支援機関」を設置することや、外部監査人の配置の義務づけ、受け入れ企業と密接な関連を持つ役職員の排除を定めています。

 これに加え、悪質な業者に対しては、不法就労助長罪の法定刑を「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」から、5年以下の懲役、500万円以下の罰金に厳罰化することで対処します。

自民党の意向を受け最長2年まで転籍を制限

 技能実習生の失踪や人権侵害の温床ともなってきた転職の制限について、法案では制限期間を現行の3年から、職種によって1~2年に緩和されます。有識者会議の最終報告では、「少なくとも1年経てば転籍制限を緩和すべきとの意見が大勢であった」となっていましたが、法案では最大2年まで幅を持たせました。

 これは、財界の強い要望もうけて自民党が最終報告後に提出した、2年の転籍制限を設けるよう求める意見書に、政府が迎合したものにほかなりません。外国人労働者の人権よりも、財界の要望を優先させたことは許せません。

 強制労働や不当な人身拘束を排除するため、労働基準法では雇用契約期間は1年を超えてはならないと定めています。そのことからも、1年以上の転籍制限は認められません。

 政府は、有識者会議の最終報告を受けた対応方針を2月に閣議決定した際、育成就労制度によって将来、永住者の増加が見込まれるとして、「永住許可制度の適正化」の方針を打ち出しました。

 それを具体化した法案では、永住許可の「取消事由」として、税金や社会保険料、国民健康保険料の滞納を付け加えました。今でも多岐にわたる永住許可の要件をさらに厳しくするもので、失業などによって税金や社会保険料が支払えなくなった場合、永住許可が取り消される場合も考えられます。

 有識者会議でも議論されてもおらず、政府の意向で法案に付け加えられた永住許可の厳格化に対しては、日弁連をはじめ支援団体から反対の声があがっています。

人権問題を引き起こした政府責任の追及こそ

 人材育成を通した「国際貢献」の名のもとに30年前に始まった技能実習制度は、国内での人材不足がすすむなか、安い労働力として技能実習生が利用され、その結果、賃金不払いや長時間労働はもとより、失踪やパスポート取り上げなどの人権問題まで引き起こしてきました。

 こうした実態を野放しにするばかりか、技能実習生の受入れを無原則に促進してきた政府の責任も重大です。当初は17職種に制限していた技能実習生の就労範囲を次々と拡大し、現在では90職種にもなっています。

 その要因は、建設や介護など人材不足に悩む財界の要望に、政府が忠実に応えたからにほかなりません。いまや技能実習生は41万人にまで増えています。にもかかわらず、政府はあくまで「移民政策はとらない」とする従来の立場を変えず、そのことで技能実習生の諸権利擁護が置き去りにされてきました。

 有識者会議の設置が、技能実習生が置かれた現状をあらためることに目的があったにもかかわらず、結局は名ばかりの「技能実習制度の廃止」と、育成就労制度への看板の付け替えで終わることは断じて認められません。

 LUMでは、全労連をはじめ労働組合、関係諸団体とも力を合わせて、国会での取り組みを強めていきます。


4年ぶりのお花見に31人参加で大盛況

 3月30日(土)東京都北区の飛鳥山公園で4年ぶりにお花見を行いました。苦しい思いをしてきたコンゴ人難民申請者のみなさんに、きれいな桜の下で食べたり飲んだり話したりして楽しく過ごす日本の文化「お花見」を体験してもらおうと、今年は土曜日に企画しました。コンゴ人はクリスチャンが多く、日曜日は参加できないと思ったからです。

 当初の予想ではこの頃満開だったはずなのですが、寒い日が多かったせいで桜はほとんど咲いていなくて残念。でも、たくさん食べて、飲んで、満足そうでした。食べた後はそれぞれ公園を散策し、森林浴を楽しみました。

 戻ってからは、森田さん、松田さんが英語とフランス語で通訳をしてくれ、一人一人の現状や困っていることなども聞くことが出来、楽しく有意義な時間を過ごしました。今後の生活確立のために、これからもサポートしていきたいと思っています。


4月から難民申請者の保護費が増額
外務省に再三増額をせまった成果!

 LUM90号でお知らせしたとおり、RHQ(公益法人アジア福祉教育財団難民事業本部)のシェルターに入居していられるのは、基本的には3ヶ月だけで、その後は自分でアパートを探して移らなければならないのです。

 でも本人達にそんなことが出来るはずがなく、LUMは共産党本村伸子議員と共に、再三外務省に「1日1600円(30日の月で48,000円)の中から、毎月必要になる共益費(水光熱費等)や入居時に必要な一時金を捻出するのは無理だ。せめて共益費は家賃並みの扱いにして、RHQで出すべきだ」と交渉してきましたが、ガードは堅く、認めようとはしませんでした。

 また「アパートが見つからないのにシェルターを追い出すことは絶対に認めない。そんなことはしないように」と強く要請し「そんなことはしない」と約束させました。ですから、ほとんどのコンゴ人は今もシェルターで生活しています。

家賃だけで入れる物件などいくら探してもなかった

 LUMとしてアパート探しのサポートをすることを決め、実際に担当したのは松澤委員長でした。彼らのためにと本当に精力的に動き、いくつもの物件(20は軽く超えている)に当たりましたが、どこでも共益費(1万円前後が多い)、入居一時金(3万~15万)は必要で、家賃だけで入れる物件などありませんでした。

 その結果をまた外務省に反映させ、「入居一時金は最初だけだからちょっと置いておいて、せめて毎月払わなければならない共益費だけでも支給されなければシェルターを出ることなど出来ない」と声高に迫りました。

「これでアパート探しがラクになった」と松澤委員長

 増額が知らされたのは突然でした。本村伸子議員の秘書の方が、外務省に問い合わせした時わかったのです。1600円が2400円になればこれまでより約24000円増えます。この中から共益費を払えるわけで、アパート探しが格段にやりやすくなりました。早くいいところを見つけて安心させてやりたいと思っています。

 外務省はもちろん言いませんが、私たちはこの間の交渉が外務省をして踏み切らせたと思っています。


本多書記長の労働相談日記

(インド人男性)テストの成績が悪いとクビ

 インドから来日したTさんは、10年以上日本で働くIT技術者です。今の会社には2022年に正社員で入社しました。本社はインドにあり、仕事の指示もインドから来ます。

 初めはプロジェクトの一員として働いていましたが、プロジェクトがなくなると自前で研修をさせられ、テストされます。テストの結果がよくなかったと、会社の退職勧奨が始まりました。結果と言っても、会社が一方的にテストし、採点も明らかにしないのですから、会社の胸ひとつでなんとでもなります。

 その会社にとって、研修→テスト→退職勧奨→解雇という流れが日常化しており、Tさんが退職勧奨に断ると、「いまはクビにしないが、最終的にはクビにするかもしれない」などと会社は脅し、Tさんは眠れなくほど不安でした。

 TさんはLUMに相談に訪れ、会社との交渉がつづいています。「能力に見合った仕事を与えろ」「嫌がらせをするな」「パワハラ止めろ」と会社に迫っていきます。


コンゴ難民めぐり本多書記長が執筆

「経済」3月号(新日本出版社)
特集「人権後進国・日本の課題」

 雑誌「経済」3月号が「人権後進国・日本の課題」を特集しています。大変読み応えのある内容で、日本の入管行政の問題点を鋭く追求しています。

 中でも、国際人権法が専門の阿部浩己明治学院大学教授「国際人権法の発展、日本の入管制度をどう改革するか」は、日本の入管法が第二次世界大戦後、連合国から出された勅令から出発していることから始まり、「国際法上、人間、人権を中心とした国際秩序が進展しているにもかかわらず、日本の入管法は旧態依然であることが致命的である」と論破し、改革の道筋を示しています。

 これまであまり語られてこなかった、国際的視野での入管法の問題点がはっきり指摘され、示唆に富んだものとなっています。

 日本共産党参議院仁比聡平議員の「入管の闇を暴く」は、名古屋入管でのウシュマ・サンダマリさん収容死が問うものと国会の役割について言及し、樋川雅一弁護士は仮放免者、「送還忌避者」を生む背景に迫り、難民支援協会は日々の活動から感じる問題点をレポートしています。

 また本多書記長も「放置された難民申請者――コンゴ人支援活動から見えてきた実態」と題し、西神田公園から始まったこの間の経験を書いています。ぜひ読んでください。


編集後記

 3月30日、飛鳥山公園でのお花見には、コンゴの人達がたくさん来てくれてとてもうれしかったです。みんなニコニコ顔で、通訳者を介してのおしゃべりにも花が咲きました。

 でも今回は土曜に日にしたので、日曜日しか休日がない常連の移住者が参加できませんでした。残念がっていた元組合員もいて、来年以降どうするか考えなければ。

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