■日本政府は外国人労働者の単純労働を認めていません
いま、日本政府は、移住労働者に対して「専門的、技術的分野の労働者は可能な限り受け入れる」が、「単純労働に従事する意図を有する外国人の入国は認めていない」との方針を一貫してとりつづけています。
かつて、1980年代後半には、近隣諸国の高い失業率や日本国内の労働力不足を背景に、資格外の「不法就労」外国人労働者が急増しました。こうした状況に対応し、政府は「出入国管理及び難民認定法」を改定し、日本への入国をきびしく管理するようになりました。
その後、国内での建設や介護などいわゆる「3K」職場の人手不足がすすむなかで、政府は、経済界の要望にもこたえて、「外国人技能実習制度」を創設するなどの対策を講じてきました。その後、2017年には外国人技能実習法が施行され、いまでは30万人にせまる技能実習生が働いています。
■外国人労働者は劣悪な労働条件で働かされています
わが国で働く外国人労働者は年々増えつづけ、厚生労働省の発表で約128万人となり、その他にも在留資格のない多くの「不法滞在外国人」が、「不法就労」しているといわれています。製造業、建設業を営む中小企業の中には、いまや外国人労働者なくしては経営が成り立っていかないのが現実です。
しかし、こうした外国人労働者の労働条件は、きわめて劣悪です。労働基準法をはじめとする労働者保護法は、国籍、在留資格の有無を問わず制度適用を認めているにもかかわらず、多くの企業で法令違反がまかりとおっています。
雇用者は、外国人労働者を「安い」「使い捨て」の労働者としか見ていないため、労働災害があっても届けでなかったり、賃金未払い事件についても、時間がたてば帰国するだろうと労基署が勧告を出しても無視するなど、その無法ぶりは国際的にも「奴隷労働」と批判を浴びています。
■労働条件の改善へ外国人労働者の組織化を
日本の人口は21世紀半ばには1億人を割り、生産年齢人口は3,000万人減少するとの試算(国立社会保障・人口問題研究所推計)もあり、外国人労働者の流入は今後さらに増大するといわれます。人手不足を補うために、外国人労働者にたよらざるをえないことは日本政府も認めるところです。
しかしながら、いまだに政府は「移民政策をとらない」との立場をかたくなにとりつづけ、外国人労働者の生活と人権を保障するきちんとした制度政策が確立されていないために、「奴隷労働」の実態はいささかも改善されていません。
ひどい労働条件で働く労働者が増えることは、労働者全体の労働条件の低下につながっていきます。外国人労働者の生活と権利を守ることは、日本の労働組合運動にとっての重要な課題となっています。
いま、日本の労働組合がやるべきことは、外国人労働者への支援を強めながら、日系人など就労ビザを持って働いている定住的な労働者の組織化をはかり、みずからの労働条件をみずからで守る力をつけていくことです。
そして、オーバーステイなどやむなく「不法滞在」せざるをえない労働者には、問題解法の具体的な援助を強め、劣悪な労働条件で働かせる日本の労働環境を改善させながら、秩序ある移住労働者の受け入れを政府や行政に求めていくことが重要です。
■世界の労働者の権利を守る運動へ
1990年12月18日、国連総会は、「すべての移住労働者とその家族の権利保護に関する条約」を採択しました。この条約は合法・違法を問わず、移住労働者とその家族に対して詳細な労働権・人権保障を規定しています。
首都圏移住労働者ユニオンは、こうした国際基準に沿った外国人労働者の人権の確立を求めます。そのために、日本と世界の労働者と連帯して活動を強めていきます。
日本のみならず、世界の労働者の権利を守る運動の環となるため、首都圏移住労働者ユニオンは大いに力を尽くします。