入管法改正案への抗議声明

 首都圏移住労働者ユニオン(LUM)は23年3月7日、入管難民法改正案の通常国会への提出に抗議し、以下の声明を発表しました。


入管法改正案の国会提出に抗議する(声明)
~ 外国人労働者の排除から共生へと政策転換をはかれ ~

2023年3月7日
首都圏移住労働者ユニオン(LUM)
執 行 委 員 長  松 澤 秀 延

1、岸田内閣は本日、入管難民法改正案を閣議決定し、ただちに国会に提出した。法案は、難民認定の申請回数を2回までに制限すること、送還を拒否した外国人には刑事罰を課すこと、新たに監理措置制度を設けることなどを柱にしており、2年前に国民的な反対世論で廃案となった入管法改正案の再提出に他ならない。
 首都圏移住労働者ユニオンは、紛争や迫害から逃れて日本に暮らす外国人に国外退去を強制する法案提出に強く抗議し、撤回を求めるものである。

2、ロシアの軍事侵攻によってウクライナから次々と避難者が来日するもとで、改正法案は、避難者を「補完的保護対象者」として受け入れる新たな措置を盛り込む。その一方で、戦争から逃れてきた人は難民に当たらないとする政府見解を変えていない。
 ウクライナにとどまらず、シリアやミャンマーなど世界各地の紛争地域から多くの人々が日本に避難し、難民申請しているにもかかわらず、一昨年の日本の難民認定者はわずか74人に過ぎず、大多数の難民が不安な日々を送っている。政府は小手先の措置ではなく、排除から共生へ難民政策を根本的に転換せよ。

3、21年の通常国会に提出された入管法改正案は、審議中にスリランカ人女性ウィシュマさんが収容施設内で病死する痛ましい事件が発生、入管庁や政府に対する批判が集中するなか廃案に追い込まれた。その反省もなく、遺族の心の傷も癒えぬうちに、漫然と法案を再提出する政府の傲岸さには憤りを禁じ得ない。
 ウィシュマさんの悲劇を二度と繰り返さないために、昨年11月の国連自由権規約委員会の勧告にも従い、収容期間の上限設定をはじめ、独立した司法機関への不服申立制度、裁判所による強制収容の判断など、国際基準に沿って入管制度の抜本的な改善を求める。

4、祖国を追われて日本にたどり着き、強制収容に怯えながらもひたむきに働く外国人労働者たちの姿を、わたしたちは支援活動を通して実際に目にしてきた。そうした人々に手を差し伸べることこそ、国際社会の一員として日本が取るべき道であり、難民追い出しの法改正は世界の流れにも逆行するものである。
 首都圏移住労働者ユニオンは、入管法改正案に反対し、日本で働く外国人労働者とその家族の命と暮らし、人権を守るため、幅広い労働組合・団体・個人と共同してたたかう決意である。

以 上

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